分派による「縦からなる横的な蕩減復帰」の誤った解釈

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「縦からなる横的な蕩減復帰」の誤った解釈


アブラハム、イサク、ヤコブの論理の悪用について
  ― 再臨主に、次の代への延長摂理はない

 機関誌『世界家庭』に連載している「サンクチュアリ教会を支持する人々の言説の誤り」の第1回目で取り扱った問題に、「アブラハム、イサク、ヤコブ路程を歩むのが真のお父様である。その後、ヨセフ路程を歩むのが亨進様であり、さらにエフライム路程を歩むのが信俊様であることが、神によって予定されている」という言説の誤りがあります。この言説が誤りであることは、すでに第1回目で論じていますので、それをもう一度、読まれることをお勧めいたします。

 ところで、この言説と類似する主張をしているのが、いわゆる「郭グループ」です。2014年6月18日、神山威氏(故人)は、郭グループ側が釜山で行った集会で次のように語りました。
 「基元節は、何をしなければならなかったのか。……神様の結婚式がなされなければならなかった。お父様が蘇生、長成、完成、最後の神様の結婚式を、真のお父様がどんなにその時を待ったと思います?……基元節は(2013年天暦)1月の13日と言いましたよ。……しかし、お父様は待ちに待ったその日を迎えられず、霊界にいかれました。どんなに無念だったと思います?……アブラハムが、縦的な歴史の失敗を象徴献祭で蕩減することにより、旧約時代の出発が成されなければならなかったが、それが失敗した。それを横的に蕩減するため、アブラハム、イサク、ヤコブと横的に(摂理が)延長された。……それと同じように、真のお父様、次のお子様、そして三代まで。一代、二代、三代で神の家庭、本当の意味での基元節を迎えなければならないと、私は考えております」

 神山威氏は、真のお父様が使命を全うできずに「聖和」されたと結論づけ、ちょうどアブラハムの“象徴献祭”の失敗によって、神の復帰摂理がアブラハム、イサク、ヤコブへと延長されたように、現代においても、真のお父様は使命を全うできず、その摂理が真のお父様、子女様、お孫様へと延長されるのだと主張します。
 しかし、これは、『原理講論』が論じるアブラハム、イサク、ヤコブの「縦からなる横的な蕩減復帰」(441ページ)の論理の悪用であり、誤った言説です。これらのサンクチュアリ教会および郭グループ側の言説は、いずれも『原理講論』が論じている「原理」から逸脱した非原理的な主張です。

 「摂理的同時性の時代の対照表」【図を参照】を見れば分かるように、アダムから太い線で描かれたアブラハムまでが本来の摂理でした。
 しかし、アブラハムが象徴献祭に失敗したため、摂理はイサクを経て、ヤコブへと延長されました。『原理講論』には、「もしアブラハムが『メシヤのための家庭的基台』を、み意にかなうように立て得たならば、その基台を中心として『メシヤのための民族的基台』を造成して、その基台の上でメシヤを迎えるはずであった。ところが、アブラハムが象徴献祭に失敗することにより、その目的は挫折してしまった」(281~282ページ)とあります。



これと同様に、イスラエル史においても、サウル王のときに「イスラエルの選民たちが、サウル王を中心とするその『信仰基台』の上で、神殿を信奉していくこの国王を絶対的に信じ従ったならば、彼らは『実体基台』を造成して『メシヤのための基台』をつくり得たはずであった(『原理講論』474ページ)とあるように、その基台の上でメシヤを迎えていたのです。
 しかし、サウル王の不信によって「摂理は成し遂げられずに、アブラハムのときと同じく、これらを縦からなる横的蕩減復帰期間として復帰するため、統一王国時代120年、南北王朝分立時代400年、イスラエル民族の捕虜および帰還時代210年、メシヤ降臨準備時代400年を立てて、初めてメシヤを迎えるようになった(同、456ページ)というのです。
 それゆえ、イスラエル史におけるサウル王以降の歴史は、「縦からなる横的な蕩減復帰」の歴史であり、これ以上、延長できない状況でイエス様を迎えている事実を知らなければなりません。
 そして『原理講論』に、「神の復帰摂理は、その対象である人間がそれ自身の責任分担を完遂しないならば、必ず、延長され……もし、ユダヤ人たちが不信に陥って、彼らの責任を果たさないならば、やむを得ずイエスは十字架で死なれて、第三のアダムとして再臨されなければならないことを(ノアの鳩の摂理は)予示なさったのである。そして、ここ(聖書)に記録されている7日という期間は……摂理的なある期間が過ぎたのちでなければ、メシヤの降臨はないということを見せてくださった」(308~309ページ)とあるように、メシヤが勝利できないときには、摂理を直ちにやり直すことはできません。

 また、イスラエル史と同様に、キリスト教史においても、『原理講論』に、チャールズ大帝が、この基台の上で、キリストの御言を信奉し、キリスト教理想を実現していったならば、この時代の『信仰基台』は造成されるようになっていたのである。……したがって、『再臨されるメシヤのための基台』も、成就されるはずであったのである。もし、このようになったならば……その基台の上にイエスが再び来られて、メシヤ王国をつくることができたはずである」(475~476ページ)とあるように、再臨主はそのときに来ていたのです。

 しかし、「国王が神のみ旨を信奉し得ず、『実体献祭』をするための位置を離れてしまったので、実体基台は造成されず、したがって、『再臨されるメシヤのための基台』もつくられ」(476ページ)ずに、復帰摂理はアブラハムのときと同様に、延長されて現代にまで至りました。
 それゆえ、キリスト教史においても、チャールズ大帝以降の歴史は、「縦からなる横的な蕩減復帰」の歴史であり、これ以上、延長できない状況で再臨主を迎えている事実を知らなければなりません。
 そして、仮に、真のお父様が勝利できなかった場合は、その摂理を直ちにやり直すことはできないのです。すなわち、「摂理的同時性の時代の対照表」【図を参照】を見ると分かるように、アブラハム、イサク、ヤコブのときの摂理のように、真のお父様、子女様、お孫様へと摂理を延長することはできません。にもかかわらず、サンクチュアリ教会や郭グループのように、子女様、お孫様へと復帰摂理を延長できると考えるのは、「原理」から逸脱した非原理的な言説です。
 『原理講論』には、「再臨主はいくら険しい苦難の道を歩まれるといっても、初臨のときのように、復帰摂理の目的を完遂できないで、亡くなられるということはない。その理由は、神が人類の真の父母を立てることによって、創造目的を完遂なさろうとする摂理は、アダムからイエスを経て再臨主に至るまで三度を数え、この三度目である再臨のときには、必ず、その摂理が成就されるようになっている」(428ページ)と論じられており、再臨主のときの摂理においては、もうこれ以上、延長があってはならないのです。

 このような「原理」を熟知しておられる真のお父様は、「偽りの父母から血肉を受け継ぐことによって、亡国の環境となってしまったサタン世界の霊界と肉界を……修理すべき責任を持った『真の父母』という人が来て、神様のように数千年間かけて役事するのではありません。アダムが一代で完成することができなかったので、(先生が)一代で解決しなければなりません。ですから、それは、どれほど途方もないことでしょうか?」(『ファミリー』2001年6月号、9ページ)、「歴史を一代で解決しなければなりません。一代でするのです。分かりますか? 何代ではありません。先生一代で解決しなければなりません。アダム家庭が、一代で勝利できなかったことを歴史的に総蕩減して、先生一代で整備しなければならないのですから、それが、どれほど途方もないことであるかということを考えてみてください」(同、13ページ)と深刻に語っておられたのです。

 それゆえ、真のお父様はみ旨を必ずや成就しようと、“不眠不休”の基準で生涯を走り抜けられ、「歴史的に総蕩減」したという勝利基準を打ち立てられたがゆえに、2012年8月13日、「すべて成し遂げました」(天一国経典『天聖經』1645ページ)という最後の祈祷を神様の前に捧げておられるのです。
 この「すべて成し遂げました」という祈祷は、ご自分の全生涯と復帰摂理歴史全体とを総括された歴史的宣言であることを知らなければなりません。
 にもかかわらず、真のお父様が“未完のメシヤ”であるかのように論じ、かつ、真のお父様をそのようにさせた元凶は、真のお母様であるかのように批判することは、人類歴史上、かつてなかった最大・最悪の“不信”であると言わざるを得ません。

 サンクチュアリ教会や郭グループ側の人々は、真のお父様が、「真の父母」としての勝利基準を立てられずに聖和されたと考え、かつ、そのようにさせたかたがお母様であると批判しています。「すべて成し遂げました」という真のお父様の御言を提示し、そうではないと応答しても、それを頑なにはね除けて、「いや、子女様はこう語っておられる」と子女様の言葉のほうを優先して、自分たちの主張を一切曲げようとはせず、聞く耳をもたないで批判し続けています。

 真のお父様は、世界平和統一家庭連合時代は「長子と次子は母親の名のもとに絶対服従しなければならないのです。服従するようになれば父と連結します(『主要儀式と宣布式Ⅲ』151ページ)、「あなたたちカインとアベルがお母様の言葉に絶対服従しなければなりません。……あなたたち兄弟同士で争って分かれることはできません。それが父母を殺した元凶です」(2008年4月6日)等々と命じておられます。このように、子女は「真の母」を通じて「真の父」に連結していかなければならないのです。そうでなければ、「真の父」に連結されることはあり得ません。
 この原則は、全祝福家庭に当てはまるものであって、その点について、真のお父様は「お母様を中心としてカイン(祝福家庭)・アベル(真の子女)が一つにならなければなりません。お母様と一つにならねばならないのです。そうしてこそ先生と一つになるのです。霊界もそうであり、地上もそうです。先生と、神様と、です」(マルスム選集265-310)と、この原則は、霊界においても適応される普遍的な原則であることを明言しておられます。

 このように命じられる真のお父様の御言を軽んじられる子女様であるにもかかわらず、その子女様を擁護する彼らの心の根底には、真の父母様の勝利圏を否定しておられる子女様(郭グループは顯進様、サンクチュアリ教会は亨進様と國進様)の“不信”を正当化して、子女様の今の立場を、擁護しようとする非原理的な動機が、彼らが意識しようとするまいと、あるからに他なりません。「孝情」を持つべき私たちは、このような不信と“不純な動機”による非原理的言動を、一掃しなければなりません。

http://trueparents.jp/?page_id=2827

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